「末期」という言葉が大変な誤解を生んでいる|愛知県名古屋市のがん治療専門クリニック

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「末期」という言葉が大変な誤解を生んでいる

 言葉といえば、末期がんの「末期」もどうかと思う。

 「初期のがんなら、いまではほとんど助かるようだ。でも、肺がんや食道がんの末期は、100人の内5~6人しか助からない。末期がんだとしたら、やはりもはや死ぬしかないだろう」 世間では大半の人がこう思っているはずだ。

 なるほど、早期発見・早期治療すればがんは治るという宣伝も行き届いているので、「がん」イコール「死」とは思わないまでも、「末期がん」ともなると、圧倒的に死の秒読みが始まっているのだと思われている。そのような考えからすると、末期がんを克服するのは、言語矛盾のようにも思えるだろう。要するに、もはや治る見込みのないものを末期がんと呼んでいるのではないかと。そこからさらには、助かるようながんは末期ではないという考えさえ生まれてくる。

 そんなことはない。これは大変な誤解である。この誤解を生む点において、「末期がん」という言葉は実に有害無益な言葉だと考えている。まず、この言葉を葬り去るべきだ。 がんの進行具合は、一般的に4段階の病気に分けられる。まず第4期の病期にあるがんを通常、末期がんと呼ぶ。末期がんというのは、がんの進行段階をいうものであって、けっして患者の生命が末期にあることを意味するのではない。ただ、がんがそれだけ進行してしまえば、患者の生命も脅かされる危険が高くなるということではあるが。

 また、この「末期」という言葉自体にも問題がある。末期という言葉には、末期(まつご)のイメージが塗り込められている。そこで「末期がん」は、患者のいのちそのものが末期(まつご)だと連想されてしまうのだ。 しかし現実に、100人のうち、5~6人しか助からないのであれば、末期イコール死でないのだと主張するのは、それが事実だとしても、現実問題としていささか苦しいということになる。

 ところが、末期胃がんでは13.1%、末期子宮がんでは11.4%の5年生存率があるのを見れば、確率はまだ低くても、必ずしも死ぬわけではないといえることが理解いただけるだろう。繰り返すが、がんの病理学的な進行状態と患者自身の生命とは異なるのである。 病理学的に末期と診断がついたとしても、すべてが2~3ヵ月のいのちだということはない。 1年や2年生きるのは普通である。気落ちして生ける屍にでもならないかぎり、末期といわれても日常生活は不都合なく動ける。再発し、手術もできない状態でも、本当に末期なのかと思わせるほど案外元気そうな場合が多いのだ。寝たきりになったとしても、数日限りのいのちもあれば、1年を超えて生きる場合もある。

 まして、100%の死亡率ではないのだとしたら、末期(まつご)のイメージを強制する「末期がん」という言葉は、害にしかならないことがわかるだろう。どうしても末期がんという言葉を使いたいのなら、がん細胞の浸潤や転移の進行状態によるのではなく、患者自身の生命が本当にあと何日もないときにこそいうべきだ。

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